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こちらのページではカーボンナノチューブについて説明をします。
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炭素の同素体

炭素は原子番号6、原子量12.01115の元素で、自然界に広く存在します。

炭素の同素体(元素が同じでも、構造が異なる物質)は、ダイヤモンドや、黒鉛(グラファイト)がよく知られています。 (図1)
ダイヤモンドとグラファイトの模式図

図1.ダイヤモンドとグラファイトの模式図


1985年、炭素の第三の同素体として、C60が発見されました。
C60は12個の5角形と20個の6角形からなるサッカーボール状の構造をしています。(図2左)
C60は直径0.71nm(nm・・ナノメートル・・1/1,000,000,000メートル)という小さなサ イズ、究極性の高い対称性から多くの研究者の関心を引き、その功績で、発見者のH.W.Kroto, R.E.Smally, R.F.Curlの3人は1996年のノーベル化学賞を受賞しました。
C60のほかにもC70、C76…などの大きな籠状分子が存在し、これら一連の分子をフラーレンと呼びます。
そして、フラーレンの大量合成の研究中に飯島澄男氏がナノチューブを発見しました。(図2右)
フラーレンとナノチューブの模式図

図2.フラーレンとナノチューブの模式図

カーボンナノチューブの生成方法

カーボンナノチューブの主な生成法として、レーザー蒸発法アーク放電法が挙げられます。

レーザー蒸発法

レーザー蒸発装置図
図7. レーザー蒸発装置図
電気炉の中に挿入した石英管の中央に、グラファイトのターゲットを置き、石英管にアルゴンガスを流します。

ガスの流れの上流側からグラファイトにNd:YAGレーザーを照射して、グラファイトを蒸発させると、電気炉の出口付近 コレクターや石英管に煤が付着します。

ターゲットがグラファイトのみの時は、得られる煤はC60、C70といったフラーレンが得られ、ターゲットに触媒となる 金属(例えばコバルトやニッケルなど)を含む場合、単層ナノチューブが得られます。

アーク放電法

アーク放電装置図
図8.アーク放電装置図
装置内を雰囲気ガス(主にヘリウム)で満たし、2本のグラファイトの電極を軽く接触させた状態で、100A(約 20V)の電流を流すとアーク放電が起こり、高温になる陽極側の炭素が蒸発します。

蒸発した炭素のおよそ半分は気相で凝縮し、煤を形成して、装置の内壁に付着し、残りの半分の炭素蒸気は陰極先端に直接凝 縮して炭素質の堆積物を形成します。この堆積物中に、多層ナノチューブが成長します。

単層ナノチューブは、陽極に触媒金属を含んだ炭素棒を蒸発することにより得られます。

レーザー蒸発法はナノチューブの基礎的な物性測定には十分な量の試料を得ることができますが、アーク放電法に比べて生産 性は低くなります。

多層カーボンナノチューブ

多層カーボンナノチューブ

多層カーボンナノチューブ(multi-wall carbon nanotube 以下MWCNTと略します)の透過電子顕微鏡(TEM)写真を図9に示します。MWCNTは図10に示すようにチューブが何層にも重なった構造をしていま す。

先端が多面体的形態を示すのは、六員環ネットに導入された五員環の周りにひずみが集中し、そこが頂点のように突き出るた めです。五員環の配置のされ方により先端の形態は変化します。
MWCNTのTEM写真
MWCNTモデル
図 9.MWCNTのTEM写真
図 10.MWCNTモデル

ナノグラファイバー

特に、雰囲気ガスに水素を用いた場合、図11と12に示す非常に細い中心空洞を持ったチューブが生成されます。これは、 チューブというよりはグラファイトのファイバー状であるため、ナノグラファイバーと呼びます。
ナノグラファイバーのTEM写真 ナノグラファイバーのTEM写真(フラットエンドタイプ)
図 11.ナノグラファイバーのTEM写真
図 12.ナノグラファイバーのTEM写真
(フラットエンドタイプ)
細いチューブでは、先端に導入される5員環の位置の自由度が非常に低く、図13のような円周上に6個5員環が配置 された6回対称のチューブが作られ、これが図14のように面を保つように重なります。このため、図10のようなフラット エンドタイプのものが見られます。これは、通常作製されたMWCNTには見られない先端構造です。
フラットエンドのモデル図
フラットエンド全体のモデル図
図 13.フラットエンドのモデル図
図 14.全体のモデル図

単層カーボンナノチューブ

単層カーボンナノチューブ(single-wall carbon nanotube 以下SWCNTと略します)の透過電子顕微鏡(TEM)写真を図15に示します。

図15のSWCNTは、図16のように束を形造っています。
SWCNTのTEM写真
SWCNTのモデル図
図 15.SWCNTの TEM写真
図 16.SWCNTのモデル図
単層ナノチューブは触媒によって成長の仕方が異なります。

図17は、ウニの様に触媒を中心にSWCNTが成長しているので、ウニ型成長と呼ばれます。このような成長は触媒に、 Y(イットリウム)やLa(ランタン)を用いたときに多く見られます。

図18は、図17に比べて生成されるチューブが長く、ハイウェイジャンクションのようにチューブ(あるいは束)が互いに 絡まっています。このような、成長は鉄族元素の混合触媒(Fe-Ni、Fe-Co)やRh-Pt、Y-Niでこのような 成長のチューブが大量に生成されることが知られています。
ウニ型成長(触媒La)
図 17.ウニ型成長(触媒La)
ハイウェイジャンクション型成長
図18.ハイウェイジャンクション型成長
(触媒 Rh-Pt)

CVD法によるカーボンナノチューブ








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